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TRD Vitzchallenge Rd.5 in 中部
イベントレポート

いよいよシリーズ終盤戦!

息つく間もないハイテンポラリーがヴィッツチャレンジャーを翻弄。
ラリーという競技を再認識した者から覚醒し、頂上を目指していく!

2005年9月4日(日)「TRDヴィッツチャレンジRd.5 in 中部」が開催された。
シリーズ中最も西寄りとなる愛知Rd.だが、それでも軽く50台を超えるエントリーを数え、地元の強豪選手も顔を揃えた。『Rd.4 in 長野』から約1ヶ月半のインターバルを経て再会した選手達は、夏の間にあった出来事やラリーの話で持ちきりだ。

中部Rd.は毎年、緻密に計算されたハイテンポなラリーがくり広げられている。残念ながら予告にあった公道を利用したSSは諸事情により中止となってしまったが、昨年のヴィッツチャレンジでも早速使用された幸田サーキットを今年もSS1、5、9と3本のSSで最大限に使用。さらに周辺の採石場の全面的な協力を得て特設された大迫力特設ダートステージがSS2,6、SS3,7、SS4,8と3コース&各リピートで計6本。「まさかこんな巨大なステージが造られているなんて!」と走る側も見る側も期待に胸をふくらませた。

今回はラリー前日に一部ではあるがSSコースのレキと幸田サーキットを使用した練習会が行われるという本格的な形式でラリーがスタートした。1日早くコースを下見したことでビールを片手に一晩ゆっくりと攻略をたてるという楽しみ方もできたのではないだろうか。もちろんラリー当日のレキはいつも通り行われるので前日に参加できなかった選手にも安心だ。サーキットの練習会ではやはり地元の強豪選手が好タイムを連発、ポイントリーダーの斉藤選手に「後1秒がわからない、いったいどこを走っているんだ!?」と言わしめた。本番の展開が非常に楽しみだ。

イベントデータ
主催 ラリーチーム ビー
開催日 2005年9月4日(日)
開催エリア 愛知県幡豆町周辺約50km
スタート会場 幡豆町役場
サービスパーク 幸田サーキット
ゴール会場 幡豆町役場
セクション数 2
SS本数 9本
総走行距離 約50km
参加台数 52台(オープンクラス18台、チャレンジクラス34台)
完走台数 45台(不出走1台)
当日の取材媒体
株式会社 芸文社 プレイドライブ モータースポーツ誌 10月1日発売号
株式会社三栄書房 ザッカー 一般自動車誌 10月発売号
有限会社ジープレス カーライフサポートマガジンGET   9月号
株式会社キャッチネットワーク 地元CATV    
★★★★★★★★

まもなくスタート!

台風接近!降水確率60%以上!勝負の鍵はタイヤにあり!?

台風接近にともない雨天の心配もされたが、さすがは高晴天率を誇るシリーズ、午前の時点では晴れ間がのぞいている。各選手ともにタイヤの選択に頭を悩ませたようだが、午前セクションではダートの比率が多いここと、雨を心配してほとんどの選手が山有りタイヤをフロントに選択していた。この場合ターマックステージでのロスが懸念されるが、それ以上にダートステージでのタイムアップを狙ったということだろう。各選手がそれぞれの思いで戦略を立てている点はタイヤの本数制限が良い方向に働いているといえるだろう。

中部Rd.は毎年地元自治体とタイアップして、ラリー以外の催し物を展開するのが特徴となっていて、今年も幡豆町役場を使用してのスタート・ゴール、町長挨拶、協会会長のスタート旗振りなどを実施した。
また、今回は初心者へ対して特別の時間を用意して、標識やTCの段取りなどを説明。いつもよりも質問も積極的に出されていてより理解と安心が高まったようだ。

地元TV局を含めた各メディアが一斉にカメラを向ける中セレモニアルスタート!各選手思い思いの意気込みや、参加者のおめでたや婚約などの重大(!?)発表を行い関係者も祝福を送って会場を盛り上げている。ヴィッツチャレンジのアットホームさが伝わってくるひとときだ。

幡豆町長

SS1

幸田サーキットを変則的に利用したステージ、スタート直後に長い左コーナーが続くためシフトアップとステアリング操作をバランス良くこなすことが好タイムに繋がるようだ。
オープンクラス上位陣はさすがにきれいなRを保ちつつシフトアップしていき、次のシケイン複合コーナーへのアプローチを整えていく。
リザルトは地元佐々木/飯泉組が後続に1秒以上の差を付けベスト、セカンドベストにはなんとチャレンジクラスの地元黒柳/早川組が好タイムで飛び込む。前日練習会の斉藤選手の言葉が現実のものとなったすばらしい走りだ。

SS2

採石場の搬入口を利用したダートとターマックの混在したミックスステージ。タイヤのグリップが急変することに加え狭い箇所が多く、コンパクトに車を取り回し派手な挙動を起こさないことが攻略の鍵になるようだ。SS1とはうってかわって今度は2番時計の佐々木/飯泉組を1秒以上離した斉藤/遠山組がベストタイム。岩波がSS1に続き僅差で続いている。チャレンジクラスでは松岡/清水組が総合でも5番手と圧倒的な速さを見せつけた。

SS3

スタート直後は一気に坂を下り降り、ウォータースプラッシュを巻き上げ川を越え、一気に採石場上層部へと駆け上っていく、まさに3次元ダイナミックステージだ。しかし180度ターン、S字スラローム、ひとつひとつを冷静に見ればオーソドックスな組み合わせなので、アップダウンによる加重の変化を掴んで落ち着いてライン取りを見つけていけば好タイムが望めそうだ。
SS2に引き続き斉藤/遠山組がベストタイム、しかし佐々木もコンマ2秒差で続き同秒首位で互角の争いを見せる。
3番手にはダートは苦手とセレモニアルスタートでコメントを残していた野村/森脇組がコンマ差で詰めよる好タイムで期待が持てそうだ。
チャレンジクラスでは平石/清島組が総合4番手の好タイムでクラスベスト。若手選手の高木/太田組もコンマ2秒で総合5番手タイムで前回クラス3位表彰の強さを定着させてきた。

SS4

周囲700mほどの溜め池を2速から3速の高速で一周し特大の島と小島をスラロームしていく設定。高速な中にもにタイトなターンやシケインがあり、こういった難所をいかにスムーズにクリアするかが肝となりそうだ。ポイントリーダーである斉藤/遠山組が速さを見せこのステージを含めて3連続ベスト。これで後続を引き離したいところだが、3番手タイムの佐々木/飯泉組もコンマ差で続き全く予断が許されない状況が続く。2番手には高橋/松本組1分5秒の壁を打ち破り飛び込んできた。

チャレンジクラスでは、松岡/清水組がクラスで唯一1分5秒の大台に乗せクラスベストタイムで好調さをアピール。松岡選手は夏の間の練習会での車両故障により、急遽借り物のVitzラリーカーでの参戦となったが、早々にそのVitzにも慣れてきたようで「この車は安定していてとても速い!買い取っちゃおうかな!?」といつもの調子を取り戻していた。

次のステージは再び幸田サーキットのため、洗車ポイントが設けられた。びしょ濡れになりながらも五十数台もの洗車を2セットこなしたオフィシャルには、選手たちも「今日一番がんばっているのは彼らだな!」と敬意を払っていた。

サービスパーク

台風接近にともなって雨という予報であったにも関わらず、晴れ間の覗く過ごしやすい気候となり、各チームのサポート隊がテントを張ってバーベキューをしたりと和やかな雰囲気が見受けられた。
パドックのすぐ横ではSS6の最後のセクションが見られジャンプしながら飛び込んでくる選手たちに声援を送っていた。
さらに幸田サーキットも全体を眺めることができ、高台からは巨大採石場特設ダートコースを一望できるとあって、サーキットに訪れた一般の方々もラリー観戦を楽しんでいる様子だった。
選手はというと30分弱の昼食時間の中で、お弁当を頬張りながらタイヤ選択に頭を悩ませリピートとなる午後のステージの攻略に余念がない様子。それぞれの選手がコンマ差の争いを展開している様子で、短い時間の中でもお互いの走り方を聞き合ったり、上位選手にアドバイスを求めたりといつもながら選手間の交流が盛んだった。

 

SS5

SS1のリピートステージ。鬼門であったスタート&左カーブも殆どの選手が、スムーズにこなしタイムアップしている様子だ。
SS1と同様地元佐々木/飯泉組が全車両中唯一の18秒台というすばらしい走りを見せベスト。3番手タイムの斉藤/遠山組を再び逆転。
セカンドベストは岩波/楯岩組が獲得し、トップ争いはますますヒートアップしてきた。
チャレンジクラスでは松岡/清水組が再びベスト。これで3連続ベストとなりトップの座を固めつつある。

SS6

SS2のリピートステージ。
斉藤/遠山組が佐々木/飯泉組に1秒もの差を付けてベストタイムを絞り出し再び逆転。岩波/楯岩組も同秒ベストで食らいついて三つ巴の様相を呈してきた。
チャレンジクラスでは高木/太田組がベストタイム、松岡/清水組に食らいつきまだまだ勝負の行方は分からない状況だ。

SS7

SS3のリピートステージ。路面が相当に荒れてしまい走りづらい状況で軒並みタイムダウン、しかしタイトターンやスラロームの間合いを掴んだ選手たちはロスを最小限に留めて勝負を狙う。
そしてここで大番狂わせが起こる!コンマ差のガチンコ勝負を繰り広げるオープンクラス上位陣を出し抜いて、黒柳/早川組が総合ベストタイムを出してきたのだ。
さらに斉藤/遠山組、岩波/楯岩組と同秒の総合3番手タイムを平石/清島組が叩き出し、鈴木/花川組も好タイム。出走順のによる路面の変化の影響もあるのだろうがチャレンジクラスの選手の成長が伺えたステージとなった。

SS8

SS4のリピートステージ。ここまできたら走りきるしかない!
SS4でセカンドタイムを出した高橋/松本組が後続に1秒以上の差を付けベスト。入賞を狙える位置まで上がってきた。
野村/森脇組も渾身の走りで岩波/楯岩組と同秒のセカンドタイム、ポディウムを狙える位置に食らいついている。
チャレンジクラスではまたもや黒柳/早川組が総合4番手の好タイム。鈴木/花川組も好タイムで挽回してきているが松岡/清水組もすばらしい走りでトップの牙城を崩さす様子はない。

SS9

最終ロングステージ。
距離が長いため、一発逆転チャンスも望める。冷静に走りきろう、選手たちの表情がさらに引き締まる。
そしてドラマが起こった!SS6からSS8にかけてズルズルと斉藤/遠山組から溝をあけられてしまっていた佐々木/飯泉組が4秒以上もの差を付けてフィニッシュ!逆転勝利を飾った!2位には斉藤/遠山組、3位には野村/森脇組の猛追を退けた岩波/楯岩組が飛び込んだ。
4位と5位の間に10秒以上もの差ができるほどの異次元バトルを演出し関係者を驚かせた。
チャレンジクラスでは今回圧倒的な速さを見せた松岡/清水組が優賞!2位にはなんと早津/吉田組が飛び込んできた。彼らはここ一発のタイムは無かったのだが、コンスタントに好タイムを並べ2位という位置を獲得するという、ラリーストらしい勝利であった。
3位にはわずかコンマ2秒差で高木/太田組、前回に引き続きポディウムの一角を獲得し速さが安定しつつあることを伺わせた。
4位には所々でスペシャルタイムを叩き出した黒柳/早川組が一気にジャンプアップをして見せた。

★★★★★★★★

表彰式

Rd.5の表彰式も、初参加の方の紹介から行われ、前回の長野Rd.に参加された新型ヴィッツの柴原チーフエンジニアに引き続き、今回もトヨタ自動車より森坂商品開発部エグゼクティブチーフエンジニアが参加され、ご紹介とヴィッツチャレンジへのコメントを頂き、会場内に大きな拍手が起こった。
(今回、森坂様のコ・ドライバーを務めたのは、全日本ラリー選手権をヴィッツで活躍する天野選手のコ・ドライバーである井上由紀子選手だ。)

チャレンジクラス表彰

「いつも勝てるところでリタイアしてしまい、今回で結果を残せなかったらコンビを解消するぞとコドライバーに言われていたので最高の形で勝つことができてホッとしています!」と優勝の松岡選手。
スペシャルタイムの連発で圧倒的な強さを見せて優勝した松岡/清水組に対し、「着実に走った」早津/吉田組は安定した速さで2位を獲得するという全く違ったパターンでラリーを制するというとても興味深い結果となった。3位には前回に引き続き高木/太田組が入り「コンマ差で負けたことが悔しい」と確実な速さを披露して周囲を驚かせた。

オープンクラス表彰 オープンクラス表彰 オープンクラス表彰
優勝〜3位 4位〜6位 7位〜10位

オープンクラス表彰

「地元のここで勝てなかったらどこで勝つんだ!という気持ちで今日は走りました」と照れつつもしっかりとコメントした佐々木/飯泉組が優勝。「佐々木選手はいつも心の中に暑い者を持っている選手だと思っていました」と激励した斉藤/遠山組が2位。ねばり強くトップ争いに食いついた岩波/楯岩組が3位。さらに野村/森脇組が4位に入ったことで斉藤/遠山組のチャンピオン確定を阻止した形となった。

オープンクラス表彰 オープンクラス表彰
優勝〜3位 4位〜6位

次回はついに今シーズン最終戦、栃木県内約120Kmで開催される「Rd.6 in 栃木」となる。
シリーズ入賞、クラス入賞、各々が目指す順位を勝ち取るために、参加者たちは最終戦をどのように待ち構えていくのだろうか・・・。

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