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新旧キャラクターの違うヴィッツがおりなすバトルに期待が高まる。

2007年3月25日(日)「TRDヴィッツチャレンジRd.1in千葉」が開催された。
スタート会場となったのは、3年連続となる日本自動車大学校(NATS)。 日本自動車大学校は、昨年4月から「専門学校ニホンオートモービルカレッジ」から「日本自動車大学校」となり単科大学へと躍進をされている。

毎年、細やかな配慮の行き届いたレギュレーション変更で様々なスキルのドライバーにチャンスが巡ってくるようにバージョンアップされてきたヴィッツチャレンジだが、今年はなんといっても新型ヴィッツRSを基軸にした、まさにフルモデルチェンジと言っても良い進化を遂げた。 今年は昨年までのチャレンジクラスを「クラス3」、オープンクラスを「クラス2」へと設定変更し、その上位に新型車量クラスである「クラス1」を新設。より多くの選手達にチャンスが巡る状況となった。 本番前日にはクラス1を対象とした合同シェイクダウンも行われ、新型車で参加するエントラントへのきめ細かく慎重な配慮がされていた。 また、大会2週間前には例年通りラリー初心者を対象とした「ラリー講習会」も行われ、シーズンスタートに向けて、まさに準備万端と言った様子だった。

ラリー当日の天候は、大型低気圧の通過に伴うあいにくの雨模様。 時折強い風と共に大粒の雨が地面を激しく叩きつける会場内ではあるが、約半年振りに再集結してきたエントラント達の表情は明るい。
そして、精悍な顔つきの新型ヴィッツが11台、見た目も”弟分”といった雰囲気の旧型ヴィッツが38台の計49台が彩り鮮やかにスタート会場を埋め尽くした。 今シーズンの注目はやはり新型ヴィッツRSラリーカーで、新型のエントラント同士においてもお互いの車輌の仕様が気になるようで入念に情報交換をしている様子であった。 また、クラス2の選手達も、次のステップは新型RSで当シリーズを戦うことを視野に入れている選手も多く、新型との走りの差がどのようなものとなるのか興味津々な様子であった。

イベントデータ
主催 レインボーオートクラブ(RBAC)
開催日 2007年3月25日(日)
開催エリア 千葉県成田市周辺
スタート会場 日本自動車大学校
サービスパーク 日本自動車大学校
ゴール会場 日本自動車大学校
セクション数
SS本数 7本
SSトータル距離 約8.0km
総走行距離 150km
参加台数 49台(クラス1:11台/クラス2:18台/クラス3:20台)
完走台数 40台(不出走1台)
当日の取材媒体
プレイドライブ 株式会社芸文社 5月1日発売号 モータースポーツ誌
オートスポーツ 株式会社三栄書房 4月23日発売号 モータースポーツ誌
ザッカー 株式会社三栄書房 4月20日発売号 自動車雑誌

新生ヴィッツチャレンジいよいよスタート!

今年も49台と盛況で迎えた開幕戦、新型、旧型、キャラクターが多彩になった感のあるラリーカーたちがスタートゲートをくぐっていった。

SS1

SS1/SS3/SS5は、日本自動車大学校の全面協力により校内テストコースを使用。特にSS5はこのコースを2周するというロングランステージとなる。3年目となる同ステージは「見た目よりもテクニカルで意外なタイム差が付くので気が抜けない。」と奥深さが毎年エントラントを楽しませている。

クラス1は昨年のオープンクラスチャンピオンの斉藤/佐藤組が2番手タイムの野村/細澤組に2秒以上のタイム差を付けてベスト獲得。3番手にはスーパーオートバックスカラーが鮮やかな増川/馬場組が滑り込む。クラス2では昨年のオープンクラスでの激戦をシリーズ5位という好成績で終えた鎌野/竹平組がベストタイムを獲得。クラス3ベストはヴィッツチャレンジ皆勤賞を維持し続けている小林/松浦組が獲得。

SS2

SS2/SS4は、全日本ジムカーナ選手権も開催される事で有名な浅間台スポーツランド。このコースは路面が乾いた状態でもスリッピーなことで有名で、今回はあいにくの天候のためさらに過酷な状況となっていることは間違いない。しかし、さすがはラリースト達、滑るヴィッツを上手にスライドコントロールしながら難コースをクリアして行った。

クラス1では斉藤/佐藤組がステージ最終セクションで痛恨のハーフスピン。その隙を突いて野村/細澤組がクラスベスト。2番手には日本自動車大学校で講師を務め、フォーミュラトヨタシリーズにも挑戦しているという金井/櫻井組がスリッパリーな路面を制して獲得。クラス2では双子のコンビ中村/中村組がクラスベスト、MONSTERから出場の直井/直井組が2番手タイム。そしてクラス3ではなんとクラス2はおろかクラス1をも抜き去って鳥海/佐藤組がベスト、夫婦で参加の今田/今田組が2番手タイムを獲得し周囲を沸かせた。

SS3

再び日本自動車大学校特設ステージ。先ほどとは一部コースパターンが変更されている。降雨が若干弱まった感のあるこのSS3では、斉藤/佐藤組がやはり強く、後続に2.6秒もの大差を付けてステージフィニッシュ。SS1ではパイロンタッチで思わぬペナルティを受けてしまった岩波/太田組が本来の走りを取り戻し、野村/森脇組をかわしてクラス1の2番手タイム。

クラス2ではSS1に続き鎌野/竹平組が再びベスト。2番手には昨年オープンクラスシリーズ6位という好結果を得た、佐々木/内田組が入る。クラス3では特別ルールを利用してオープンクラスからクラス3へと活動の場を移した岩城/松本組がそのチャンスをつかむべく果敢に走りきりクラスベストを獲得した。

SS4

浅間台スポーツランドでの2本目となるSS4。SS2よりも雨脚がさらに強まっている様子。50台近くのヴィッツラリーカーが1つのステージを走り終えるのには1時間近くかかるため、出走順によって天候の変化もあり得る。そういったコンディションの変化もタイム差に関わってくる。これはWRC(世界ラリー選手権)などでもよく見られるパターンであるが、条件が良くなったときのチャンスを逃がさないことが勝利へのカギとなる。

クラス1では斉藤/佐藤組がきっちり走り切りベスト。2番手にはやはりターマックで安定した強さを持つ野村/細澤組が入る。3番手タイムはSS2に続いて金井/櫻井組が滑るヴィッツを上手く制御して獲得。クラス2では直井/直井組がSS2より堅実にタイムアップしてクラスベストタイム。クラス3ではSS2オーバーオールベストの鳥海/佐藤組、セカンドベストの今田/今田組がクラス1の斉藤に次ぐ好タイムで肩を並べた。

SS5

本日最後の日本自動車大学校特設ステージは、コースを2周するロングランステージ。最終コーナー手前には100メートル以上のストレートが存在しており、雨でウォータースプラッシュが激しい中、旧型でも最高速度110キロをマーク。さらにパワーのある新型は130キロを裕に超えていたという情報もある。この高速ステージをヴィッツチャレンジャーは果敢に挑戦していた。

クラス1では斉藤/佐藤組、野村/細澤組、金井/櫻井組と続きターマックステージでの不動の強さをアピール。そこに岩波/太田組、増川/馬場組、みつなり/蟹江組が果敢に挑戦して行くという形で本日最後のターマックステージは幕を閉じた。クラス2では、昨年オープンクラスシリーズ3位というチャレンジクラスからのステップアップ組の中で目覚ましい成長を遂げた松岡/清水組が本領を発揮してクラスベスト。クラス3ではターマックステージでクラス2に迫る好タイムを連発した今田/今田組が連続クラスベスト、クラス1位で午後へのグラベルステージへと向かう。

SS6

SS6はオートランド千葉第1コースで行なわれる本日最初のグラベルステージ。 パイロンコースから林道コースへと進入して行くコースで、ラリードライビングの奥深さが試されるテクニカルな設定。 コース上は降り続いた雨の影響で路面はマッド状態。路面の硬い部分をいかに捉えるかがタイムアップの条件になるようだ。 エントラント達はリグループの時間を利用してお互いにレキで得られた情報の交換をしつつ、攻略を練ったり、アドバイスを積極的に受けていた。

クラス1では、斉藤/佐藤組がグラベルステージでも強さを見せ4連続ベストタイムを果たす。2番手にはグラベルに強い岩波/太田組が好タイムでセカンドベスト。クラス2では加藤/柳沢組がグラベルでの強さを見せクラスベスト。「師匠、竹平からグラベルの走り方のレクチャーを受けた」という鎌野/竹平組がセカンドタイム。クラス3は中村/筒井組がクラス2と比較しても遜色の無いタイムで見事にクラスベスト。2、3番手には畠山/山川組、小林/松浦組と続き午前のターマックステージとは打って変わった順位となった。

SS7

最終SSとなるSS7は、SS6のリピートコース。 この頃には轍が深く掘られ、そこに捕まると一巻の終わりといった状況となった。泥がはけて地盤が出てきたポイントを見つけ出しタイヤを乗せていけるかが勝負の分かれ目となる。

クラス1では、ついに斉藤/佐藤組の連続ベストを突き崩した野村/細澤組が最終SSベストタイム。本日通算2本のベストと3本のセカンドベストで斉藤/佐藤組に迫る2位入賞となる総合タイムであったが、リエゾン区間での大量ペナルティのため残念ながらクラス10位となってしまった。 セカンドタイムは本日5本のベストタイムというすばらしい走りを見せた斉藤/佐藤組で見事に総合優勝を決めた。3番手タイムは岩波/太田組が再びグラベルでの強さを見せ序盤のペナルティをものともせず3位表彰台を見事に獲得した。 総合2位は増川/馬場組が手堅く走りきり獲得。

クラス2では、加藤/柳沢組がこのSSでオーバーオールベストタイムをたたき出し見事にクラス2位表彰台を獲得。 2番手には夫婦で参加の赤木/赤木組がグラベルでの強さを見せ、前半の舗装ステージでの安定した走りも相まって3位表彰台を獲得。 また、鎌野/竹平組が最後は慎重に走ったものの、本日2本のクラスベストタイムと2本のセカンドベストで見事にクラス2優勝を果たした。

クラス3では、オーバーオールでも3番手タイムとすばらしい走りを見せた行武/角野組がクラスベストを獲得。 また、このSSを堅実に走りきった今田/今田組が2本のクラスベストと2本のセカンドベスト獲得で初の表彰台で最上段を獲得した。 2位表彰台にはSS2においてオーバーオールベストとすばらしい走りを見せた鳥海/佐藤組が上った。 3位表彰台にはベテランらしく好タイムをじっくり並べた岩城/松本組が上がった。

表彰式

各車続々とゴール後、表彰式が日本自動車大学校の講堂で速やかに行われた。今年から3クラス設定となったことで、表彰式はさらに盛大さを増し、また、協賛・後援各社よりの豪華章典を前に表彰者の顔にも思わず笑顔がこぼれていた。

クラス1
優勝 斉藤 邦夫/佐藤 良憲
2位 増川 智/馬場 裕之
3位 岩波 敏樹/太田 弘志
4位 みつなり/蟹江 清
5位 河野 和彦/松村 孝也
6位 金井 亮忠/櫻井 節

「これから新型ヴィッツでヴィッツチャレンジに挑戦する人が増えれば、さらに楽しめるシリーズとなると思います。(斉藤選手)」 「クラス2とのタイム差を見るとまだまだ新型のポテンシャルが引き出せてないと感じました。これからが楽しみです。(岩波選手)」

クラス2
優勝 鎌野 賢志/竹平 素信
2位 加藤 剛/柳沢 清人
3位 赤木 攻/赤木 弥生
4位 佐々木 康行/内田 園美
5位 松岡 淳/エキサイト清水
6位 直井 浩/直井 隆

「今日は師匠である竹平さんのアドバイスを受けて走りました。(鎌野選手)」 「長年ラリーに携わってきましたが、このラリーは我々年寄りにも負担無く出来、さらにはシビアな戦いを楽しむことができるのですばらしいと思いました。(竹平選手)」

クラス3
優勝 今田 敬/今田 千鶴子
2位 鳥海 幸弘/佐藤 孝一
3位 岩城 のぼる/松本 みか
4位 鈴木 隆司/本間 龍史
5位 畠山 貴之/高山 啓一郎
6位 和田 早永/和田 利明

「初めての表彰台で初めての優勝ができてとても嬉しいです!(今田選手)」 「いつも重量が弱点となっていましたが、今回のようなコンディションにはトラクションとして生きたのかも・・・(鳥海選手/佐藤選手)」 「クラス3に転向したことで、久しぶりの表彰台に立てて嬉しいです。(岩城選手)」

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