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シリーズ終盤を迎えたTRDヴィッツチャレンジ

 毎年真夏に開催される中部ラウンド、今年は10月も間近な9月30日に愛知県幡豆町を中心に開催された。

今回のセレモニースタートは『ジェームス豊川店』。 早朝のスタートにもかかわらず多くの関係者、サポート部隊、ギャラリーが45台のヴィッツラリーカーを見おくった。 "ジェームス"の巨大な看板を背にスタートして行く色彩豊かなヴィッツラリーカーたち、街のおなじみのカーショップが一層賑やかな雰囲気となり、駆けつけたメディアも一斉にカメラを向けていた。

 スタートした選手達は毎年ヘッドクォーターとして使用される幡豆町役場に再び集合し、車検などの手続きが行われた。 来月、愛知県新城市で開催される全日本ラリー選手権に負けずおとらずな「市」「町」ぐるみの体制でTRDヴィッツチャレンジを迎え入れてくれた。

 コンディションはあいにくの小雨であるが、秋とはいえつい先日まで猛暑に見舞われていたことを考えると涼しく過ごしやすい一日となり、2ヶ月ぶりに集まった選手達はパラつく雨も何のその、和気あいあいとラリー談義に花を咲かせつつ今日の良戦のために準備を整えていた。


イベントデータ
主催 ラリーチーム ビー(RTB)
開催日 2007年9月30日(日)
開催エリア 愛知県内
スタート会場 ジェームス豊川店
サービスパーク 幸田サーキット
ゴール会場 幡豆町役場
セクション数
SS本数 7本
SSトータル距離 約8km
総走行距離 約83km
参加台数 45台(クラス1:14台/クラス2:16台/クラス3:15台)
完走台数 43台(不出走0台)
当日の取材媒体
JAFスポーツ (株)JAF出版社 JAFモータースポーツ情報誌
ザッカー (株)三栄書房 総合自動車雑誌
カーサポートマガジン「get」 (有)ジープレス 地域自動車雑誌

ステージ概要

毎年、息つく間もないハイテンポなラリーとなる中部ラウンド。今年は林道SSが2本に増えたため数は7本と本数こそ少ないが、3つのステージを巧みに組み合わせたセクション構成で相変わらずテンポの良いラリーとなっている。

SS1/SS4/SS7

幸田サーキットを使用したステージ。通常周回路からかなりの変更を加え、 一部にタイトターンを組み合わせた、まさにラリー向けなステージとなっていた。

SS2/SS5

採石場を使用したコース。 今年も採石場のバックアップで構内をめいっぱい使ったコース。 高低差も激しいまさに3次元ステージといった趣でダートトライアル場やグラベル林道とはひと味変わったステージとなった。

SS3/SS6

町道を利用したコース。距離こそ短いものの、これでもかとコーナーが連続で続くテクニカルコース。 雨というコンディションも相まって先の読めないステージとなっていた。 ペースノートを使っていかに呼吸を合わせることができるかが勝負のカギとなりそうだ。

セクション1(SS1〜SS3)

 雨のサーキットステージということで緊張感の高まるSS1スタート地点。
スリッパリーな路面と緊張感からか、理想的なラインをなかなかトレースできずに苦戦している選手が多く見られた。 ダートのSS2でも雨脚が強く、ぬかるんだ路面が非常にスリッパリーなようで、各車ヴィッツとは思えない豪快なアングルでの激走を繰り広げる。 林道SSのS3では、タイトなコースということもあって高度なドライビングテクニック要することを予想されたが、ヴィッツラリーカー達は果敢にステージへとスタートして行った。

クラス1

 難しいコンディションの中、斉藤/板倉組がSS1の幸田サーキットで理想的なラインをトレース、後続を2秒引き離すばらしいタイムで1番時計。 セカンドベストに野村/森脇組が続き、みつなり/蟹江組も同タイムとなる好走をみせた。
  続くSS2でも斉藤組がトップタイム、みつなり組が再びセカンドタイムを獲得し、ダートに強い岩波/高木組が本領を発揮し3番手タイムに入る。
  SS3の林道では距離が短いためコンマ差の争いが展開される中、野村組が斉藤
組をコンマ1秒かわしてステージベストを奪取。 岩波組も斉藤組と同秒のセカンドベストで林道での意地を見せた。
  クラス1では斉藤組に後続が少々引き離されてしまう展開になっているが、後続ではコンマ数秒に数台がひしめく激戦となっており午後のセクションでの競技が楽しみな展開となった。

クラス2

 クラス2では松岡/武田組がクラス1のトップ陣に割って入る激走でラリーをスタート!SS1、SS2を制した。
  SS3は内田/足立組が短いステージながらも松岡組を1.5秒も突き放す好走を見せ信州戦での強さを再び見せつけた。 また、ライバル達が難しいコンディションでミスを連発する中、鈴木/和田組が安定して好タイムを並べ上位に付けている。
  サービスパークでは自分の走りに納得がいかないという選手も多く見られたが、いずれにせよたった2秒ほどのなかに何台もの選手がひしめいているという状況であり、心機一転午後のセクションに元気よく挑んで行った。

クラス3

今回のラウンドでシリーズを獲得したい畠山/石倉組がSS1、2、3、と文句なしのトップタイムで午前セクションを通過。 林道のSS3に至ってはクラス2セカンドタイムの松岡組を上まわるスペシャルタイムであった。
  さらに鳥海/佐藤組も畠山組とほぼ同タイムでSS1、SS2をクリアしたが、SS3でまさかの失速、順位を一気に落としてしまった。
  クラス2同様こちらもほとんど差がでない状況となり、午後のセクション2が楽しみな状況だ。

サービスパーク

選手達はサービスパークとなる幸田サーキットに移動し、リグループ&サービスタイム。 雨脚も弱まったこともあって、リグループの時間調整中配られたお弁当をほおばりながら、サポートや応援に駆けつけた友人達としばしの休憩をとっていた。 また、サポート隊も「今回のラリーではタイヤ交換などのサービスをすることがあまり無い。」と言いつつも担当する車両の空気圧チェックや各部点検に真剣に取り組んでいた。

セクション2(SS4〜SS7)

 午後のセクション2。ステージはセクション1(午前)のリピート。
本場WRCなどのラリーでは、2回目に走った際、いかにタイムアップできるかが勝敗の要となるが、ヴィッツチャレンジも全く同じで、このタイムアップのコンマ差こそが勝敗を決めてしまう重要な要素となっている。 特にダートSSは、コース状況が悪化していることが予想されるため、慎重なドライビングが求められる。

クラス1

 セクション1では斉藤組が好走を見せ、今回も独走かと思われたが、セクション2に入ってから野村組が怒濤の追い上げを見せ、SS5(ダート)では斉藤組を一秒以上もの差を付けてみせた。 しかしセクション1での差は大きく、斉藤組が逃げ切り今季5度目の優勝、野村組が2位表彰台を獲得した。 3位表彰台争いは、午前に引き続き昨年のチャレンジクラスからのステップアップ組であるみつなり組が好走を続けたが、岩波組が野村組と同様に斉藤組に匹敵する激走を見せみつなり組を逆転。 久しぶりの表彰台を獲得した。
  しかし、今回こそミスコースで大幅に順位を落としてしまった鎌野選手、今回活躍したみつなり選手とステップアップ組が着実に新型RSをモノにしてトップ争いをするという目覚ましい成長を遂げていることはヴィッツチャレンジの将来にとって良いニュースと言えるだろう。

クラス2

 「今回は気持ちよく走りきった。」という言葉の通り、SCP10の持てる力を出し切ったと言えるタイムをセクション2でも連発した松岡組が文句なしの今季3勝目を獲得しシリーズ争いに王手をかけた。 加藤組も怒濤の追い上げを見せセクション1のタイムロスを取り戻し2位に入賞した。
  またSS6(林道)では、再び内田組がスペシャルタイムで林道ベストを獲得かと思われたが、続く鈴木/山野組がコンマ差で上回り林道最速の座を獲得した。

クラス3

 僅差で争っていた選手達がそれぞれ悔しいミスをしてしまうといった悪コンディションの中、畠山組がセクション2もキッチリと走りきり、クラス2と合わせても3位と言う文句なしの優勝を飾り、今季3勝目を上げシリーズ優勝を獲得した。
  団子状態で争わられていた2位には最後に幸田をしっかりと走った中村/中村組が滑り込んだ。これにベテラン勢の岩城組、鳥海組、吉田組が僅差で続き今回のラリーをまとめた。

表彰式

 表彰式会場では、公式結果が出るまでの時間、初参加者の紹介や今回先行車をつとめた天野選手が挨拶をした。 「先行車(カローラレビンAE111)と遜色のないタイムを並べられ、少々焦りました。 AE111ラリーカーとヴィッツラリーカーの改造度合いの差を考えれば、新型RSのポテンシャルは相当な物だと言えます。」との発言をし会場を沸かせた。 さらに「WRCも新型RSで出れたら最高ですね!」と冗談まじりにも真剣な期待を述べ、10月末に開催されるWRCラリージャパンに出場する選手にとっても新型RSは期待出来る車だということが証明された。

クラス1
優勝 斉藤 邦夫/板倉 武
2位 野村 長/森脇 克也
3位 岩波 敏樹/高木 啓一郎

「ようやくコンマ差の争いができた。今回は昨年までこのシリーズを追っていた若手の高木君を乗せて走ったが最初のステージ後『岩波さんそんなもん!?』といわれ全力で走ったことがペースを取り戻す良いきっかけになった。(Dr.岩波選手)」「新型ヴィッツがすごく速くてビックリしました。今日は久しぶりにヴィッチャレをたのしみました。(Co-Dr.高木選手)」「今日はやっと斉藤選手に追いつけた気がした。最終戦までに練習して一矢報いたいです。(Dr.野村選手)」「後続との差がなくなっているので、勝てるところと抑えるところをキッチリ切り分けて戦術立てて走りました。(Dr.斉藤選手)」

クラス2
優勝 松岡 淳/武田 宏一
2位 加藤 剛/柳沢 清人
3位 鈴木 智之/和田 浩一
4位 内田 滋/足立 正明
5位 赤木 攻/赤木 弥生

「今シーズン頑張ってきてなんとか前に立つことができました。地元で友達がきてくれていたのでうれしいです。(Dr.鈴木選手)」 「松岡君にまた負けてしまいましたが彼は本当に成長したと思います。来年はRSを考えています!というか買っちゃいました。(Dr.加藤選手)」「今日は本当に気持ちよくは走ることができました。そのことがうれしい。(Dr.松岡選手)」 「今日は松岡の日!というぐらいこちらが計算したタイムを出してくれました。(Co-Dr.武田選手)」

クラス3
優勝 畠山 貴之/石倉 せいじん
2位 中村 武司/中村 光
3位 岩城 のぼる/高橋 功
4位 鳥海 幸弘/佐藤 孝一
5位 吉田 訓亨/正谷 肇也

「さきほどトヨタの方が長く車で走ることができる車を用意したいとおっしゃいましたが私もこないだ還暦を迎えました。後10年がんばって70歳ラリースト目指します!(Dr.吉田選手)」 「僕も細く長くラリーを続けてきましたが、そんなのも良いんじゃないかと思います。(Dr.岩城選手)」「無心で走ったら奇跡が起こって表彰台に立てました。本当にうれしいです。(Dr.中村選手)」 「昨年借りたヴィッツ出場したことがきっかけで今年はシリーズを追いました。仲間も増えて本当に良い経験が積めました。次戦はクラス2に挑戦したいと思っています。(Dr.畠山選手)」

次戦は毎年高い評価を受けている長野ラウンドで、ついにシリーズ最終戦を迎える。 「今年はサプライズが用意出来るよう頑張っています。」との長野ラウンド競技長からの予告もあり、様々に楽しみなラウンドとなりそうだ。

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